鳥獣戯画

2021年06月29日

トーハクの総合文化展ウロチョロ

6月8日に上野にある東京国立博物館(トーハク)で見てきた鳥獣戯画展の番外編その2。

庭園をブラブラした後は本館で常設展を。
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何度も来ているのについ写真を撮ってしまうレトロで重厚な空間。
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本日の展示内容。
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写真では切れてしまっているが全部で9つあった。開催期日を見ると、だいたい2週間に1つの割合で展示が入れ替わるみたい。

ところでトーハクの総合文化展とはいわゆる常設展だと思っているのだが、普通の美術館のそれと較べれば、もう少し企画的要素が強いのかも知れない。収蔵品数が膨大だから何かテーマを設けないと展示しにくいのかな。ちなみに東京国立博物館の収蔵品は約12万件で、京都国立博物館の約1万5000件や国立西洋美術館の約6000件と較べて圧倒的。

ただしここに記されていない展示もあったような。それらと総合文化展との関わりがよくわからないが、まあとにかくトーハクに来ればたくさんの展示品を見ることができる。


本館は2階建て。建物の外周部分に沿って展示室が連なっている。
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最初に向かったのはこの期間の目玉展示である「鳥獣戯画展スピンオフ」。スピンは回るでオフは離れていくだから、スピンオフはクルクル回って遠心力で飛び出すというようなイメージ。そこから転じて派生という意味合い。ドラマや映画でよく使われるようになった。

ここでは鳥獣戯画に登場する動物に焦点を当てて、いろいろな像や絵などが展示されていたがーーーあまり関心を持てなかった。結局、鳥獣戯画とは甲巻に描かれている内容・世界観がすべてで、それを見てニコニコできればいい〜それ以上でも以下でもないというのが私の捉え方のような気がする。だから展覧会での模本や断簡でオリジナルに迫ろうという企画にもあまり興味が湧かなかったのだと思う。

またこのスピンオフ展には山崎董洤(やまざき とうせん)という絵師が、鳥獣戯画4巻を明治時代に模写したものが展示されていた。また模本かと思いあまりよく見なかったが、これは「鳥獣戯画展のチケットが取れなかった人のための展示でもある」というようなこともいわれている。展覧会に入れないのに、これだけを見に来る人なんているのかな?
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当初はスピンオフ展だけを見るつもりだったが、せっかくなので館内をウロチョロと。

トーハクでいつも楽しみなのは埴輪とかの古代日本の展示。いつぞやは国宝の挂甲武人(けいこうぶじん)を見てけっこう興奮した。展示室に入るといきなり国宝が鎮座していてビックリするのがトーハクの醍醐味。
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仏像見たり絵巻見たり。
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展示室と展示室の途中に設けられている休憩スペース。
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この椅子がなかなかよかった。何がよかったかというと座面のフレームが左右に張り出しているが、座るとその反り上がっている部分が手を置くのに絶妙な高さ。外観的にはいかにも「デザインしました」という感じでまったく好みではないが、試してみないとわからないこともあると実感。
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この休憩スペースからテラスに出て庭園を眺められる。前回の投稿で庭園側から写真を撮った場所。ついでに2階以上にあって屋根のあるのがベランダ、ないのがバルコニー、1階で外に出やすいように床などを敷いたのがテラスね。
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テラスに出ると隅に係員がいた。おそらく日本庭園が閉まる午後4時に会わせてテラスも出入りができなくなるので締め切るために待機しているのだろう。この時は4時2分前。「雨で床が濡れているのでご注意を」と声をかけられる。いうほど濡れていなかったがボーッと立っているだけじゃ退屈なんだろう(^^ゞ


ところで後でスマホを見ると、午後3時半に80mmもの豪雨予報が出ていた。実際にはこの前後にそんな雨は降っていない。このアプリの予報はいつも大げさなのが困る。
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館内の所々にこのレトロなダイアル式の電話が置いてある。いちおう内線番号が書かれているがつながるのかな。それともシャレ?
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武具が置いてあるコーナーに来た。
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日本刀のよさというのもサッパリわからないのだが、
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これは国宝らしい!
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では改めて国宝を鑑賞しましょう。
やはり何も感じないが(^^ゞ
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最近は刀剣乱舞というゲームの影響で日本刀がブームらしく、刀剣女子や日本刀女子という言葉もよく耳にする。何でも「女子」を付ければいいものじゃないとは思っているが。最初の写真にも一眼レフを構えている熱心な刀剣女子がうっすらと写っているよ。


最後に見たのは大型の仏像コーナー。
これはあまりヤル気のないホトケダンサーズ?
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ところで一般的に(日本では)

   博物館:写真撮影可
   美術館:写真撮影不可

である。トーハクの場合は何も注意書きがなければ撮影可で、不可の場合はその旨の表示がある。この仏像コーナーでは5点のうち1点が撮影可能だった。似たような仏像なのに何が違うのか。たまたま係員がいたので尋ねてみると、

  トーハク所蔵(所有権があるという意味)の展示は原則的に撮影可。
  寄託(所有者からトーハクが預かって展示)されているものは所有者の意向による。

ということだった。ではその所有者はどうして撮影禁止にするのだろう。海外では美術館でもたいてい撮影できる。やはり「写真を撮ると魂を抜かれる」と思われていた伝統がまだ生きているのかな(^^ゞ



話は変わるがトーハクの常設展示を見て歩くと、いつも注意力散漫な鑑賞になってしまう。
その原因はおそらく

  館内がメチャ広い
  全体的なつながりがなく、あらゆる時代や内容のものが展示されている
  個々の展示方法にもメリハリがない
  企画展のオマケで見ているという意識がどこかにある

からかな。
何となくもったいないというか、もっと工夫できるはずと思ってしまう。
もっとも具体的な提案はないが。



来た時には止まっていた噴水が噴き出していた。
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残念なことに今年はこれからおもしろそうな展覧会がほとんどない。コロナで企画が進まなかったのかなあ。でも大規模な展覧会は数年かけて準備するものだから、コロナの影響が出るとしたらもっと先だと思うけれど。それはそれで心配ーーー

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2021年06月18日

特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」 その6

会場は2つに分かれていて、第1会場には今まで書いてきた住吉家旧蔵本(模本)と、甲・乙・丙・丁の鳥獣戯画全4巻、それと江戸時代の初めから最近まで鳥獣戯画が収められていた箱が展示されていた。

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外箱と内箱に分かれ(写真上段)、内箱も二重構造で(写真下段)絵巻を2つ入れたものを二段に重ねて、それを上から覆う造りになっている。この立派な箱を見れば鳥獣戯画がどんな扱いをされてきたかわかるというもの。


第2会場に入る。

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もう鳥獣戯画を見終わったのに何が展示してあったのかというと、迎えてくれるのは「鳥獣戯画の断簡と模本 ー 失われた場面の復原」というコーナーである。

断簡とは切れ切れになった文書が本来の意味であるが、美術用語では絵巻の一部が切り離され掛軸などに仕立て直されて残っているものを意味する。ワガママなことをするヤツがいるものだと思うが、これは絵巻アルアルなことらしい。

    ※なお復原と復元はどちらも「もとの姿に戻すこと」だが、文化財用語では、
     今あるものをオリジナルの状態に戻すのが復原、失われたものを(新たに)
     再現するのが復元。


断簡 東博本:祭礼の行列風景らしい
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断簡 益田家旧蔵本:サルとウサギがシカに乗って競争。
          サルはウサギの耳を引っ張って妨害行為中(^^ゞ
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断簡 MIHO Museum本
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もうひとつ高松家旧蔵本の断簡というのがあった。
やはり断簡はおいしいところを切り取っているなという印象。


それぞれの名前は基本的に所有者に由来している。ただし現在の所有者とは限らない。

    東博:東京国立博物館の意味だが、この断簡の現在の所有は独立行政法人国立
    文化財機構で、保管が東京国立博物館。

    益田家:明治時代に三井財閥で活躍した実業家で茶人の益田孝の益田家。
    現在の所有者は記載がないから今も益田家にあるか別の個人の所有。

    MIHO Museum:滋賀県にある神慈秀明会という宗教法人が運営する
    博物館が所有。

    高松家:調べてもどこの高松さんなのかかわからなかった。現在はアメリカ人の
    個人所有でブルックリン美術館に寄託されている(預けること)。


模写である模本は、第1会場にあった住吉家旧蔵本(1598年作)の他に以下のものが展示されていた。

    長尾家旧蔵本 15〜16世紀の作 長尾家については不明 

    探幽縮図 江戸幕府の絵師である狩野探幽による17世紀の模写

    松浦家本 1819年作 平戸藩主の松浦静山が別の模写から模写させたもの


長尾家旧蔵本から。
どちらも現在の鳥獣戯画には描かれていない内容。

この時代にもう高飛び競技があったのに驚く。
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ヘビにビビって逃げるカエル。
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断簡があれば鳥獣戯画は一部が切り取られていることになる(切り取られた後に戻されたものもあるらしい)。そして模本はそれぞれが模写された時代の鳥獣戯画の姿を示している。それらをあれこれと研究して推測されているのは、

  23枚の用紙が張り合わされている甲巻は、もともと2巻の絵巻として存在していた。

     現在の1〜10枚目を含む絵巻に、住吉家の模本を中心に益田家・高松家・
     MIHO Museumの断簡の内容を加えたもの。

     現在の11〜23枚目を含む絵巻に、長尾家の模本を中心に東博の断簡の内容を
     加えたもの。
    
  それが切り取られて短くなったので?
  江戸時代初めに2巻を1巻にまとめられて現在に伝わったーーーと考えられる。


甲巻が2つあったなんてビックリである。ただしその推測によって復原されたものが展示されていたが、ただでさえストーリーにつながりのない鳥獣戯画が、ますます訳のわからない内容になっていたような。(どうでもいいことだが、模本を使うなら、それは復原ではなく復元だろうという気がする)

また最も古い住吉家や長尾家の模本でも、鳥獣戯画が描かれてから数百年後の模写であり、それ以前に切り取られた断簡は反映していない。だから今後、もっと古い時代の模本、あるいはまとまった数の断簡が新たに出てくれば別だが、その可能性は極めて低いと思うのでオリジナルの姿に近づくのはかなり難しいと思う。

ただしストーリーがないことが幸いして、今のままでも充分に魅力的だし楽しめるのが鳥獣戯画である。800年前のおそらくは無名絵師の、おそらくは習作で描かれたものが、これだけしっかりと残っているだけでも儲けもの。



おしまい


何となく唐突な終わり方だけれど、
国宝の鳥獣戯画だって話にオチはないからね(^^ゞ

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wassho at 19:55|PermalinkComments(0)

2021年06月16日

特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」 その5

さて乙巻から丁巻。
こちらは動く歩道ではなく通常の展示。


乙巻は甲巻より9枚多く、32枚の用紙がつなぎ合わされていて全長は12.25メートル。
1枚あたりの長さは何センチかというどうでもいい計算をしてみると、

   甲巻:11.36メートル ÷ 23枚 = 49センチ
   乙館:12.25メートル ÷ 32枚 = 38センチ

乙巻の平均値が短いのは、10センチほどのやたら短い用紙が何枚か使われているから。おそらく一部を切り取られた後に、その前後をつないだのだろう。だから中央値で較べれば甲巻と長さは変わらないはず。なお縦のサイズは31センチで甲巻と変わらない。


この乙巻は戯画(おかしみのある絵、戯を訓読みすればタワムレ)ではなくて、動物のスケッチあるいは図鑑みたいな内容。登場するのは全部で16種類。ただし後半は麒麟など想像上の動物が描かれる。


2枚目
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9枚〜10枚目
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15枚〜16枚目
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絵がお上手ですねという感想だけしかでてこない。
はっきりいって800年前に描かれた骨董品であること以外に価値は見いだせない。


19枚〜20枚目
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これは麒麟(きりん)。龍や鳳凰と同じく中国神話に現れる霊獣。

ところで中国人が初めて動物のキリンを見た時、この麒麟に姿が似ていたからキリンと名付けたらしい。キリンビールに描かれているイラストの麒麟はズングリしてキリンに似ていないが、この麒麟ならその気持ちはわかる。


25枚〜26枚目
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ちょっと首が長い気もするが、これはトラ。この時代の日本では中国からの絵画や毛皮でしか存在を知らないので、麒麟と同じく想像上の動物扱いになって絵巻の後半に登場する。


27枚目
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こちらは獅子。まったく空想の産物である麒麟と違って、獅子は古代の中国人が(まだ見たことのない)ライオンの話を聞いて想像を膨らませて創作したものらしい。


31枚〜32枚目
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右のゾウはトラと同じ理由で絵巻の後半に描かれている。左にいるのは人の見る夢を食べて生きているという獏(ばく)。麒麟→キリンと同じく、動物のバクもこの獏に似ているのが名前の由来。


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3巻目となる丙(へい)巻は用紙20枚プラス奥書で11.13メートル。これは戯画であるが、前半は人間で後半に動物を描いている。ただし鳥は登場しないから人獣戯画。もっともカエルは獣じゃないけれど。でもそれを言い出すと鳥獣戯画というタイトルも成立しなくなる。

4枚目
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5枚目
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7枚目
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なぜか身体にヒモをひっかけて、それを引っ張り合う遊びがやたら出てくる。この時代に流行っていたのかな。未来にはゴムパッチンという遊びがあるよと教えてあげたいね(^^ゞ


6枚目
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これはにらめっこ。昔は目比べ(めくらべ)といったらしい。
左側の二人がにらめっこをして、その表情を見た中央の人物が大笑いしている。


12枚目
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動物編のパートはここから。シカに乗ってサルがレースをするシーンであるが、甲巻のようにユーモラスな感じは伝わってこない。


15枚目
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サルやウサギもかわいくない(/o\)


14枚〜15枚目
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荷車をお祭りの山車(だし)に見立てているとの想定らしい。


丙巻で人間が描かれているパートは構図やデッサンがしっかりした印象を受けるが、動物のパートになるとかなりレベルが下がる。


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丁(てい)巻は用紙18枚で長さ9.4メートルと最も短い。こちらは鳥も獣も登場せず人間だけが描かれている。他の巻と較べるとラフな筆遣いというか、短時間で仕上げた印象を受ける。


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右側は楽器の演奏。そのお囃子で盛り上げられている中央は、侏儒(しゅじゅ=子人)の曲芸との解説だが、何が描かれているのかイマイチよくわからず。


3枚目
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4枚〜5枚目
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この2枚はどちらも僧侶が描かれている。リスペクトしている様子は伺えないな。


6枚目
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いわゆる流鏑馬(やぶさめ)のシーン。

弓矢がYの字になっていたのが不思議で調べてみると、これは鏑矢(かぶらや)という形状。Y字の後ろに箱のようなものが描かれているが、それが空洞で笛になっていてる弓矢のようである(別に先端がY字じゃなくてもいい気もするが)。合戦の開始の合図として放たれたとのこと。


11枚目
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木遣り(木材の運搬)の様子。かなり漫画っぽい描き方。



甲・乙・丙・丁でバラエティに富んでいておもしろかった。ただし各巻を通しで眺めると甲巻の素晴らしさ・レベルの高さが改めて浮き彫りになってくる。鳥獣戯画は4巻セットで国宝指定を受けている。しかし甲巻は単独で国宝の価値があるが、乙・丙・丁はもし甲巻が存在しなければ国宝になっていなかったと思う。



ーーー続く

wassho at 23:17|PermalinkComments(0)

2021年06月15日

特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」 その4

2015年に今回と同じく東京国立博物館で開かれた鳥獣戯画展は、待ち時間が6時間に及ぶ日もあったくらいの入場者を集めた。館内に入るのに1時間、乙・丙・丁の3巻を見終わるのに待ち時間を含めて2時間、そこから甲巻を見るのにさらに3時間の行列! 最終の午後5時に入場した人が博物館を出たのは深夜11時を回っていたというからビックリである。その6時間のうち絵を鑑賞したのは15分くらいなんだろうなあ(/o\)

行列2

その経験と反省を踏まえてかどうかは知らないが、この展覧会で導入されたのが動く歩道。最も人気のある=混雑する甲巻の展示に設置されている。人がベルトコンベアに乗って作品の前を移動するというか移動させられるのは、おそらく展覧会史上初めてじゃないかな。

もっとも今回はコロナでかなりの入場者数制限をしているから、結果的には導入した意味がなかった。しかし企画発注されたのはコロナ以前だろうから、まあそれは仕方がない。



右から左へストーリーが進む絵巻に会わせて人が流れていく。これはおそらく事前内覧会で撮られた写真で、実際には動く歩道の上に途切れることなく人が乗っている。

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       写真はhttps://www.culture.city.taito.lg.jp/ja/reports/20474から引用

動く歩道で絵巻を見ること自体に違和感はなかった。移動するのが自分の足かベルトコンベアかの違いだけだからそれも当然か。違和感がないというよりアトラクションぽい感覚もあって、ちょっと楽しい。それと人とぶつかる心配がないので作品に集中できたのは想定外のメリット。


ただし動く歩道の移動スピードはかなり早く感じた。
スマホのストップウォッチで歩道に乗せられていた時間を測ったら2分24秒。

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甲巻は11m57cmだから

   秒速なら8cm
   分速なら4.8m
   時速なら0.29km

できれば2倍の5分は欲しい。最低でも4分は必要。
その場合で分速は2.9mとなる。

図柄として眺めるだけなら分速4.8mでも問題はない。しかし絵巻は物語である。鳥獣戯画にほとんどストーリーはないとわかっていても、脳がどうしてもストーリーとして捉えようとする。そして分速4.8mではそれを解釈する処理が追いつかない。だから目では見えているのに内容が頭に入ってこない感覚が生じてフラストレーションが溜まる。

もっともスピードを遅くすれば混雑緩和の効果は薄れてしまう。しかし自然発生する渋滞によるさらなる速度の低下は起こらないから(高速道路を思い出してね)、自由に歩かせるよりはスムーズに人が流れるのじゃないかな。そのあたりの工学は専門家じゃないからよくわからないが。いずれにしても必要な鑑賞時間を確保できないのなら本末転倒である。

なお甲巻を動く歩道で見た後は乙・丙・丁の展示ゾーンに進んで、動く歩道には戻れない導線になっている。もう一度見るには出口から出て、再び展示室に入り直す必要がある。



さて動く歩道は直線しか対応できないが、回転寿司のコンベア方式ならコーナーを曲がることも可能。ひょっとして未来の展覧会はそんな風にして見ることになるのだろうか。あるいはAIによる自動運転のセグウエイみたいな物に乗せられて。

確かに効率的ではあるが、何となく非人間的で美術作品を見るにはそぐわない気がする。展覧会なんて興味がない作品は見なくていい、あるいはチラ見で充分で、気に入った作品は好きなだけ眺めていたいもの。それを観光バス旅行のように画一的に館内を回らされたのではたまらない。

また今回は日時を予約してのチケット発売となった。これは混雑回避ではなくコロナの密対策ではあるが、入場者数の抑制もあって入館待ち時間は5分程度。それは大いに評価できる。ただしそれでも美術館のよさとはコンサートや演劇と違って、日時に縛られず思いついたらいつでも行けることだと思っている。またそれがよく展覧会を訪れている理由でもある。

とはいうものの2015年の鳥獣戯画展や2016年の伊藤若冲展のように6時間待ちなんてのは論外として、展覧会を見るのに数時間待ちというのも同じく非人間的でもあるわけで。そういう超人気展覧会ではコロナが終焉しても事前予約制にすべきかなあと考えたり。人間回転寿司にさせられるのはもう少し先のことだろうからまだ心配していないが。


800年前に描かれた鳥獣戯画を眺めながら、
今後の美術展のあり方に思いを巡らせたのが不思議な気分。



ーーー続く

wassho at 23:48|PermalinkComments(0)

2021年06月13日

特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」 その3

鳥獣戯画といえば最初の投稿で紹介した「ウサギやカエルやサルのユーモラスな絵」を思い浮かべる人がほとんどだかと思う。それがキモには違いないが、実際はもう少し幅広い作品群で成り立っている。また意外と正体不明でもある。


まず作者が誰かわかっていない。教科書で鳥羽僧正(とばそうじょう)と習ったようにも思うが、現在ではその説は否定されている。なんたって今は鎌倉幕府もイイクニツクロウじゃないらしいから、歴史というのは後世の研究であれこれアップデートされるもの。

鳥獣戯画として伝わっている絵巻は4巻ある。ただしタイトルとして作品中にそう記されているわけではなく、このネーミングは明治の中頃になって使われ出したもの。それまでは作者が鳥羽僧正と思われていたことから鳥羽絵などと呼ばれていたようである。

これらはモノクロであることは共通しているものの、各巻の内容はつながっておらず画風も異なる。うち1巻は戯画(おかしみのある絵、戯を訓読みすればタワムレ)でもない。いつ制作されたかも不明で、おおよそ平安末期から鎌倉初期と推定されている。

ということで、その期間中に異なる作者によって、別々の時期に描かれた絵巻が、いつしか4巻セットとして扱われるようになったと考えられている。

また鳥獣戯画は京都の高山寺に伝えられてきたが、ここに奉納されたものではなく、いつ・どうしてこの寺の所有となったかも不明。また内容に仏教的な意味合いが込められているのかどうかも解明されていない。実は謎だらけの作品なのである。

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最初の展示は「住吉家旧蔵本」という模本。模本は模写のことで、絵巻は本扱いになって模本というのかな。その住吉家とは江戸時代に、狩野派と並んで幕府の御用絵師を務めた流派の家系。ただしこの模本は1598年と住吉家初代が生まれる前の制作だから、住吉派の絵師が描いたのではなく、どこかで手に入れて守ってきたものということになる。

本物があるのにどうして模写を見なくてはならないのか。それは鳥獣戯画は絵巻をバラバラにして再度つなぎ合わされた経緯があり、その過程で失われた部分や順番がおかしなところがある。だから模本と比較することでオリジナルの内容を推察できるということらしい。

学術的にはその通りである。
しかし、よほどそういうことに興味があるのなら別だが、住吉家旧蔵本の展示はパスして、それで浮いた時間で本物の鳥獣戯画を何度も見たほうがいい。サイズ的には縦30センチほどと小さいので、行列に並ばずに人の後ろから見るのも難しい。つまり模本を見るのにもけっこう時間がかかる。

それにここに展示されている住吉家の模本は内容的にもオリジナルとあまり変わらない。描写はもちろんそっくりである。また模本の後にまたパネル展示が続くし、はっきり言って本物を見る前にちょっと飽きてくる(^^ゞ  ※別の場所に展示されているやや内容の異なる住吉家旧蔵本もある。

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さていよいよ鳥獣戯画とのご対面。4巻あると書いたが、それぞれに甲・乙・丙(へい)・丁(てい)の記号が振られている。この記号がついたのも大正から昭和にかけての頃らしい。また甲・乙・丙・丁は1から4という順番を表しているが、このように呼ばれる以前は構成順も違っていたとのこと。

その第1巻である甲巻こそが、
世間一般にイメージされている鳥獣戯画の世界そのものである。

現在の甲巻は23枚の用紙がつなぎ合わされた絵巻。
縦が約31センチ、長さが約11.36メートル。
(なお横に長い画像はとても小さく表示されてしまうのでクリックで拡大して欲しい)


1枚〜3枚目
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初っぱなからウサギが鼻をつまんで背面から水に飛び込むというシーン。この時点で鳥獣戯画ワールドに引き込まれてしまう。少し前に流行った表現をするなら「ツカミはOK」以上の出来映え。

描かれている動物はウサギ・カエル・サルがメインだが、甲巻では全部で11種類が登場する。この場面ではウサギが乗っているシカ。ただしシカはウサギなどと違って擬人化されていない。

余談になるが「擬人化」という言葉を覚えたのは、教科書に書いてあった鳥獣戯画の解説からだったような気がする。


13枚〜14枚目
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おそらく鳥獣戯画で最も有名なシーン。明確なストーリーはないけれど、この前後に描かれている内容から推測すると、ウサギとカエルが一緒に作業をしていたところにサルがやってきて、一匹のカエルのいたずらをした。それで仲間のウサギとカエルが追いかけているように思える。


17枚〜18枚目
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右側に描かれているウサギとカエルは抱き合っているように見えるが、これは相撲を取っているシーン。カエルはウサギの耳を噛んでいるから反則攻撃中(^^ゞ

中央のウサギは地面に倒れ込んで笑っているのではなく、右側に描かれた相撲の続きで、カエルがウサギを投げ飛ばしたところ。これは時間の経過や連続した動作を表現する「異時同時図法」という絵巻独特の手法。ここに貼った画像では「ちょっと無理なお約束」のように思えるが、絵巻を見る時は少しずつ広げて、また見た部分は巻き取っていくから抵抗がないのかも知れない。
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それにしても耳を噛まれて投げ飛ばされまでしたのに、ウサギは楽しそうでカエルととっても仲良しなことが伺える。


8枚〜9枚目
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鳥獣戯画というと動物が遊んでいるイメージが強いが働いている場面もある。
これは宴会の準備らしい。


20枚〜21枚目
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仏教的な行動であるのは一目瞭然でも、それまでの展開とはつながっていないから意味がよくわからないシーン。

中央の奥で頭巾を被っているのはキツネだと思うが、その右隣と中央手前でウサギと一緒に法衣を着ている動物はイタチだろうか。また左にある木にはフクロウが留まっている。



ところで鳥獣戯画には高山寺と描かれたハンコがベタベタ押してある。これが子供の頃から不思議だったというか目障りに思っていた。ブログを書く前に少し調べてわかったのは

  1)絵巻は紙をつなぎ合わせて長い巻物にする。

  2)鳥獣戯画では「ノリが古くなって紙がはがれた」「巻物だと見るのに不便だから
    はがした」のどちらかはわからないが、

  3)とにかくバラバラの状態で保存されている時期があった。

  4)その時に、後でまた貼り合わせやすいように割り印のような役割を持たせて
    判を押した。

ということらしい。

しかしである。甲巻の場合だと23枚の貼り合わせだから継ぎ目は22ヶ所。そのうち継ぎ目の部分に絵が描かれていない箇所、すなわち割り印がないと後で困る箇所はたった2つしかない。

何が言いたいかというと、誰かタイムマシンで過去の高山寺へ行って、ハンコを押しまくった担当者をシバいてきて欲しいということ(^^ゞ



ーーー続く

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2021年06月11日

特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」 その2

上野公園には銀座線あるいは日比谷線の地下鉄で行くことが多いのだが、この日の午前中は丸の内にいたので東京駅から山手線で移動。地下鉄だと駅から少し歩くのに対し、山手線の上野駅公園口は公園の目の前なので便利。


駅に着いてビックリする。
駅舎が新しくなっている。
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でもそれは数年前から工事をしていて何となく知っていたから、
驚いたのはこれじゃない。

ビックリしたのはこちら。
ただし上野公園に来たことがなければ、この写真を見てもその理由はわからないと思う。
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では改装前の駅舎の写真を。
駅と公園の間に道路が通っていたのに、それがなくなっているのだ!
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これは工事中の時の完成予想図(上の写真とは上下左右が逆になっている)。グレーの塗りと黄緑のラインで描かれているのが道路であるが従来は1本につながっていた。写真で横断歩道になっている部分が駅の前を横切っていた道路。
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それが分断されて、現在は駅の手前で折り返しになっている。
そこそこ交通量があったように記憶しているのに。
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それにしても、こんなのは初めて見た。道路行政はつなげるのが至上命題かと思いきや分断もありなんだ。(複数のブロックにまたがる敷地に大きなビルが建って、ブロックとブロックの間の道路がなくなった事例なら目撃したことはある)

このように改修されたのは昨年の3月。オリンピックで増える観光客対策を名目にした公共事業。もう忘れかけているが本当は昨年にオリンピックを開催のはずだった(^^ゞ 最後に上野公園に来たのはハマスホイの展覧会があった昨年の2月。もうほとんど完成していただろうけれど、その時には御徒町側の出入り口を使ったからこのエリアは見ていない。


まあとにかく改札口は少し移動して公園出入口に近くなり(電車から降りて歩く距離に変わりはないが)、信号待ちせずに公園に入れて便利にはなった。

ここは出入り口から少し進んだ東京文化会館と国立西洋美術館の間の通路。
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何となく印象が違うなあと思って以前に撮った写真と較べてみると、石材&アスファルトから全面石材敷きに変わったようだ。ついでにここもリニューアルしたのかな。なおこの写真は2016年のもの。
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国立西洋美術館は2020年10月から2022年春まで改修のために長期の休館中。これもコロナの影響だろうか。あるいは、どうせコロナで人数制限や時間短縮をさせられるなら、いっそ大がかりな工事をしてしまえと考えたのか。
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中央の広場から上野駅を振り返って。平日だし緊急事態宣言下だし人はとても少ない。混雑や人混みは苦手な性格でも、これだけガランとした上野公園は寂しいなあ。
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90度右を向くと春は花見で賑わうさくら通り。
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もう90度右で動物園の方向。
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動物園も博物館と同じく事前予約が必要。しかも1日に入場できるのはたったの2000名。ちなみに2019年の年間来場者数は348万人で、動物園は月曜が休園日だから、それを365日の6/7=312日で割ると1日あたり約1万1000人となる。


そしてこちらに進めば博物館。
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途中にある噴水池。噴水は休憩中みたい。
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東京国立博物館に到着。
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予約が埋まらなければ当日券が発売される運営になっている。
しかしこの展覧会でおそらくそんな日はないはず。
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チケットは「アソビュー」というレジャー系のオンラインサイトか、セブンイレブンで予約する仕組み。今回は発券不要のアソビューを利用。今まで知らなかったがけっこう大手らしい。

トーハク(東京国立博物館)の敷地に入るゲートで、スマホに送られてきたQRコードを見せて入場。この段階ではただ見せるだけ。係員はスマホの小さな画面に表示される日付を読まなければならないから目が悪いと務まらないかも。
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日付の確認が済むと検温と手指のアルコール消毒。
ところで手指なんて単語はコロナ以前は使ったことがなかったな。


中に入って左側のクラシックな建物が本館で、右側が東洋館。
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マスクをしているゆるキャラは、
右がユリノキちゃんで、左が埴輪をモデルにしたトーハクくん。
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そしてこれがトーハクのシンボルでもあるユリノキ。漢字では百合の木と書くが、花のユリとはもちろん関係なくモクレンの仲間。チューリップのような花が咲くらしい。原産地はアメリカ。
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解説によると

     明治8〜9年頃渡来した30粒の種から育った一本の苗木から明治14年に現在地に
     植えられたといわれ、以来博物館の歴史を見守り続けている。東京国立博物館は
     「ユリノキの博物館」「ユリノキの館」などといわれる。

明治9年から数えると樹齢145年。
そんなに古木じゃないとしても現地で見るとその大きさに圧倒される。


ユリノキの近くには洒落たキッチンカーが営業中。
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そしてユリノキを挟んで東洋館の向かいにあるのが表慶館。1909年(明治42年)に開館した日本ではじめての本格的な美術館とのこと。
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なおトーハクは湯島で1872年(明治5年)に設立され、上野に移ってきたのが1882年(明治15年)。現在の本館は1938年(昭和13年)の開館。

ちなみにオールジャンルを収集展示するのが博物館で、美術品に焦点を当てたいわば美術専門博物館が美術館。英語ではどちらも museum(ミュージアム)だから名前だけでは判別できない。美術館を art museum と表現する場合もあるが。


本館の横を通り抜けて展覧会が開催されている平成館へ向かう。訪れるのは2017年の運慶展以来。「無著菩薩立像」「世親菩薩立像」そして「四天王立像」の印象は今でも強く残っているが、あれからもう4年も経ったのか。
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50人ほどが並んでいる。予約は1時間単位で区切られていて、私のチケットは午後1時から2時の間に入場可能。この時点で時刻は1時20分くらい。
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スマホのストップウォッチで計測すると、列の最後尾について建物中に入るまで待った時間は5分30秒だった。コロナが終わっても完全予約制の継続は検討する価値があるような気がする。
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建物の中に入り、今度はQRコードをスキャンされて予約内容の確認。それが済むと展示室のある2階に上がって、いよいよ鳥獣戯画と3.5度目の正直でご対面である。
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ーーー続く

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2021年06月10日

特別展「国宝 鳥獣戯画のすべて」

上野公園にある東京国立博物館で鳥獣戯画の展覧会を見てきた。
説明不要だと思うが、こういうヤツね。

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おそらく、これ↓と並んで誰もが知っている日本の作品かと。北斎の版画と較べれば目にする機会はずっと少ないはずだが、それだけ印象に残る作風なのだと思う。そして私の知る限り、たいていの人が鳥獣戯画を何となく好きだ。

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鳥獣戯画は巻物だから長さはあっても、縦は30センチほどだからサイズ的には小さい。それに墨の線で描かれたモノクロ作品。その2つから言えるのは実物を見ても、印刷や画像で見るのと大して変わらないということ。それでも一度は生で目にしておきたいという魅力が鳥獣戯画にはある。



この作品を見る機会は今までもあった。まず2007年にサントリー美術館が六本木のミッドタウンに移転したオープン記念の展覧会。この時はミッドタウンまで出かけたのに、急用の連絡が入って断念。もう会期はほとんど残っていない時期だったので再訪はかなわず。

その次は2015年に今回と同じくトーハク(東京国立博物館)での展覧会。この展覧会は大人気で最大待ち時間が6時間!という超長蛇の列の情報が。それにビビって躊躇しているうちに会期が終わってしまいーーー

そして3度目の正直が今回。実はこの展覧会、当初は昨年の7月14日から8月30日にかけて開かれるはずだった。しかしコロナであえなく中止。とことん鳥獣戯画には嫌われているなあと思っていたら、今年になって4月13日から5月30日までの新たな会期が設定された。


ヤッター\(^o^)/ と思ったものの、チケットは日時を事前に定める完全予約制と面倒なシステムとなる。でも、それなら6時間待ちはないだろうと前向きに考えることに。その発売開始日は3月30日と4月20日と5月4日。4月はアチコチの花見で忙しいからゴールデンウイーク後に訪問することにした。すると5月4日以降に予約となる。なのに4月25日に3度目となる緊急事態宣言が発令でトーハクは休館に。当然ながら予約も受付中止。

しかし行政の判断はプロ野球やJリーグそれに劇場は営業可というチグハグなものだった。それはやはりおかしいと思ったのか、5月10日に文化庁は美術館や博物館もOKという方針を打ち出し、それを受けてトーハクは5月14日から予約を再開することを発表。が、何と東京都は翌日の5月11日に美術館や博物館の営業停止を要請! 文化庁は東京都に屈服し1日で方針転換してトーハクはまさかの休館継続となる(>_<)


やっぱり鳥獣戯画には縁がなかったかと今度こそ諦めていたら、何がどうなったかわからないのだが、6月1日から美術館や博物館も営業できるということになり、5月30日から予約受付開始。会期も6月20日まで延長された。それでは百合子の気の変わらぬうちにと(^^ゞ とっとと予約を済ませ6月8日に見てきたしだい。


そんな事情が相まって、修正と但し書きの多い公式ホームページの画像なのである。

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ーーー続く

wassho at 20:48|PermalinkComments(0)