DP-X1A

2021年05月18日

イヤホン・ヘッドホン 2.5mmプラグの注意点

DP-X1A


2016年の末にオンキョーのDP-X1Aという携帯音楽プレイヤーを買った。
    ↓
DP-X1Aはイヤホンを一般的な接続以外に、バランス接続と呼ばれる仕組みでも鳴らすことができる。それを試してみたくて、それまで使っていたイヤホンがダメになった時に、バランス接続ができるパイオニアのSE-CH5BLという機種に買い換えた。
    ↓
DP-X1Aをバランス接続するには直径が2.5mmのプラグを使う。ちなみに一般的なイヤホンプラグの直径は3.5mmである。
    ↓
後にMomentum ON-EAR Gというヘッドホンを買い、これもバランス接続ができるように2.5mmのプラグがついたケーブルと交換した。


ーーーなどをこれまで書いてきた。
それらのイヤホンあるいはヘッドホンの性能と、わたしの耳力の組み合わせでは音質的に「気のせい」ほどの違いしか感じ取れないのであるが(^^ゞ しかしせっかくバランス接続の機能があるのだからとの単純な理由で、SE-CH5BLを購入した2018年の5月からはバランス接続のみで使用している。



ところでバランス接続でない一般のイヤホンのプラグは直径3.5mmが標準として確立している。これに対してバランス接続は2.5mm、3.5mm、4.4mm、その他特殊な形状もあって規格が乱立している。そして2.5mmのプラグに関しては、細いから折れやすいと指摘される場合がある。

2.5÷3.5=71%だから強度が下がるのは間違いない。しかし極めて短い部材なので実用的な強度は確保されているだろうし、もしポキポキ折れるようなら2.5mm規格は採用されていないはず。実際のところSE-CH5BLを約3年間使ってきたが折れたことはない。



しかしであるーーー

1月頃にイヤホンの片側の音が途切れるような症状が出た。こういった場合に疑うのはケーブルの断線である。過去のイヤホンは

   ゼンハイザー:CX870:8ヶ月
   ソニー:MDR-XB60EX:3年と4ヶ月
   ソニー:MDR-XB90EX:2年と5ヶ月

で断線している。1月の時点でSE-CH5BLの使用期間は2年と8ヶ月。そろそろ寿命が来てもおかしくはないタイミング。ケーブルの断線はプラグの近くで起こる場合が多い。その付近のケーブルをシゴけば初期のうちは回復する場合もある。この時も効果があった。

そのようにダマしながら使っていたが、徐々に音の途切れる頻度が増してきた。それで何気なくイヤホンのプラグを携帯音楽プレイヤーから抜いてみると、

     少し曲がっていた(/o\)

プラグが曲がるような強い力を加えた覚えはない。気づかないうちに何かの弾みで強く押されてしまったのか、あるいは弱い力の蓄積が2年と8ヶ月続いて曲がったのか。理由はわからないがとにかく曲がった。プラグの根本中央に対して先端中央が0.5mmほどズレたような、ごくわずかな曲がり方。3.5mmのプラグでこんな経験はない。

イヤホンのプラグはとても短いから指で持っては修正できない。だからペンチでも使えばよかったのだが、ちょっと横着をしてプラグをジャックに差し込んだままクイックイッと力を加えて修正してみた。まだわずかに曲がっているような気がしたものの、とりあえず音の途切れはなくなった。

     意外と簡単に治ったなーーーとほくそ笑む。

それでもたまに音が途切れる。そういう時はあまり深く考えずにジャックに差し込まれたプラグにクイックイッと適当に力を加えて対処。



しかし今月になって、また音が途切れる頻度が増えてきた。
そして先日、プラグを差し込むジャックのあたりを見てみると、ジャックの金具がボディから浮いているのを発見!  ※写真の右側が2.5mmのジャック。左は普通の3.5mm。

IMG_0467

つまりジャックを使ってテコの原理でプラグに力を加えて修正しているうちに、ジャックがグラグラになってしまった(>_<)

ちなみに何度も修正を加えたプラグは、今ではまっすぐに。
※写真右がイヤホンのプラグ。左はヘッドホンのプラグで、これは最初から曲がっていない。

IMG_0468

まとめると、イヤホンのプラグが曲がっても、ジャックを使って修正してはいけない〜そんなマイナーなアドバイスは誰の役に立つ?というのが本日のお話(^^ゞ

修理に出すのも面倒だから、3.5mmのジャックが使えるイヤホンに買い換えることになりそう。ヘッドホンはケーブルを元に戻せば大丈夫。バランス接続ではなくなってしまうが「気のせい」ほどの違いだし。



ところでオンキヨーは債務超過が続いて今年の7月に上場廃止となる。2017年には1620円あった株価も本日の終値は7円と紙くずレベル。10年ほど前からギターのギブソンやティアックが株主になったり、パイオニアのAV事業を買収したり、かと思えば最近は自社のAV事業をシャープに売却したりと迷走状態。会社の名前もオンキヨー〇〇〇と何度も変わり、現在はオンキヨーホームエンターテイメント株式会社。

2016年に発売されたDP-X1Aは、そこそこ評判がよかったはずなのに後継機種は発売されないままになっている。先ほどホームページを見たらまだラインナップとして残っているものの、公式の通販ページには掲載されていない。

実は昔、オンキョーのCDプレーヤーを2台続けて買って、2台とも同じところが壊れたことがあった。そんなわけで妙な思い入れ?のあるオンキヨーのオーディオ製品だけれど、私が買うのはこのDP-X1Aが最後になるのかな。ちょっと寂しい。

wassho at 21:33|PermalinkComments(0)

2018年11月04日

foobar2000をDP-X1Aで使う

foobar2000

私がほぼ毎日使っている携帯音楽プレーヤーのオンキョーDP-X1A。音質は最高だが操作性は最低最悪である。そのイラダチを書いたエントリーはこちら。もしDP-X1A関連のすべてのエントリーを読みたければページの一番下にあるタグ:DP-X1Aからどうぞ。

上記にリンクしたエントリーでこのように書いた。

   ところでDP-X1AはAndroidのOSで動いている。ということは別の音楽アプリを
   インストールすれば操作性に関してはカバーできるのかもしれない。今のところ
   それが可能なのか、どんな音楽アプリがあるのかなどは調べていない。そんな面
   倒なことをするために買った訳じゃないから、オンキョーには一刻も早い内蔵ソフト
   の改良を求めたいのである。


そういうわけで音楽アプリを入れる気はサラサラなかった。ところが先日ネットでまったく別のことを調べているときに「foobar2000 Android版」の文字が見えた。音楽CDをパソコンに取り込んで、CDプレーヤーの代わりにパソコンをオーディオにつないで再生する、あるいはハイレゾの音楽ファイルをパソコンにダウンロードして再生するなどをPCオーディオという。foobar2000はPCオーディオにおけるWindowsの音楽再生ソフトではおそらく一番定評のあるソフト。私はMacを使っているからWindowsには詳しくないものの、それでもfoobar2000の名前程度は知っていた。

「foobar2000がAndroidで使えるのか、じゃやってみるか」とトライ。あまり調べもせず、とりあえずDP-X1AからPlayストアにアクセスしてfoobar2000をダウンロード。アッサリと立ち上がった。ちなみに無料アプリである。ページ先頭の宇宙人?キツネ?みたいなのはfoobar2000のアイコン。


使ってみた感想は今までのイライラは何だったのかと思うくらい使いやすい。foobar2000は日本語化されておらずメニューは英語でも、直感的に操作できるのでまったく問題はない。

DP-X1Aに最初から搭載されている音楽アプリ(Musicという名前)がどう使いづらいのかを、実機でデモンストレーションしないで理解してもらうのは難しい。でもとりあえず努力して書いてみるとーーー

Musicを起動すると、その前に演奏していたアルバムの画面が表示される。そこから別のアルバムを聴くためにアルバムリストに戻るには

  「戻る」のアイコンをタップ
  するとファイル階層の一番上位の画面が表示される
  そこからアルバムリストの階層に移動するのに3画面をスワイプ
  つまり1タップ3スワイプの4動作が必要

それに対してfoobar2000ではその前に演奏していたアルバムの画面から「戻る」のアイコンをタップするとアルバムリストに直ちに移動する。4動作対1動作、毎回のことだからこの差は大きい。というかiPhoneでも1タップでアルバムリストに戻れたし、なぜオンキョーがこんな操作性の悪い設計にしたのかまったく理解できない。

それとそのアルバムリストは、Musicでは小さなジャケット写真に大きな文字で1画面につき6アルバム表示される。foobar2000では大きなジャケット写真に小さな文字で1画面に12アルバム。私もそうだが、ほとんどの人はジャケット写真でアルバムを選ぶ。だからfoobar2000のほうが2倍の早さでアルバムを探し出せる。ただしMusicにある「アルバムリスト画面をスクロールするときにアルバムタイトルの先頭1文字が表示される機能」はfoobar2000にはない。

比較写真  左がfoobar2000、右がMusic
※Musicのジャケット写真が不鮮明なのはiPhoneのフラッシュで色が飛んでいるから。
スライド1



さて音楽アプリだから本来大事なのは音質。残念ながらこれはMusicのほうがいい。ただしその差は極めて僅か。私の耳にはMusicのほうがfoobar2000より百分のいくつかクリアに聞こえる。その程度の違いだから再生を切り替えながら比較すれば違いを感じても、目隠しテストなら聴き分けられない自信がある(^^ゞ

音質の差はMusicが開発においてDP-X1Aのハードウエアに最適化されているからかもしれない。それとアップサンプリングの倍率も影響していると思う。Musicでは192KHzにアップサンプリングしている。foobar2000では96KHzまでしか設定できない。CDの44.1KHzからの倍率で比較すれば4.4倍と2.2倍の差。それとfoobar2000ではアップサンプリングをする・しないで音質に「気のせい」ほどの違いしかない。本当にアップサンプリングしているの?と疑うくらい。ところでMusicとfoobar2000のソフトウエア本来の音質の違いはアップサンプリングなしで聴き較べればわかる。あるいはMusicのアップサンプリングをfoobar2000と同じ96KHzに設定してもいい。でもそんな実験をするとドロ沼にはまりそうなのでやっていない。


さて日本の人口から見てDP-X1Aを使っている人なんてごくごく僅か。その中でこのブログを読む人は統計的に「いないと」無視していいレベルなのは承知している。しかし奇跡的にDP-X1Aの操作性の悪さに頭に来ているユーザーがこのページにたどり着いたなら「迷う前にfoobar2000をインストールすべき」といっておこう。


ついでに奇跡が起きたときのための追伸。

foobar2000では最初にMedia Libraryで音楽ファイルを指定する必要がある。マイクロSDにファイルを入れているならExternal Storageを指定すればいい。ただしこれでは2枚あるマイクロSDの1番目のスロットに挿してあるカードしか認識されない。ネットで「foobar2000 DP-X1A」と検索してもそれに関する情報は見つからない。実はここで途方に暮れた。

しかし心配ご無用。External Storageと書かれているあたりに指を置いてスクロールするとADD FOLDERのボタンがあらわれるので、それをタップすれば2番目のスロットにあるカードが指定できる。たまたま画面に指が触れてスクロールできるのを発見したけれど、そうでなければ本日のブログはfoobar2000をボロクソにこき下ろすところだった(^^ゞ

wassho at 17:37|PermalinkComments(0)

2018年10月09日

コンプライ Comply

法律や倫理を守りましょうというコンプライアンスではなく、コンプライというメーカーのイヤホンのイヤーピース=ゴムで出来ている耳に差し込む部分のパーツのお話。

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現在使っているパイオニアのSE-CH5BLというイヤホンをなぜ買ったか、どんな音質なのかはしばらく前にブログにした。バランス接続の効果かどうかは別として高音はいいのだけれど、オリジナルは3500円クラスのイヤホンだからか中低音は物足りない。それが全体の厚み不足というかリアリティのなさにつながっているような気もする。しかしSE-CH5BLに慣れてしまったら、そんなに不満は感じないというようなことを書いた。

でもやはり我慢できなくなってきた。中低域が不足しているのは明らかだ。


実はSE-CH5BLを買ったときから気になっていることがあった。SE-CH5BLはステム=イヤーピースを装着する部分の軸が少し太い。当然そのステムの直径に合わせてイヤーピースも膨らまざるを得ない。S、M、Lサイズと3種類のイヤーピースが付属しているが、Sサイズでも私の耳にはわずかに大きい感触だった。

イヤホンで音楽を聴いているなら試してみればわかるが、イヤホンを少し耳の奥まで押し込むと低域が増す。SE-CH5BLも耳奥に押しつけるといい感じに鳴った。ただしイヤーピースが大きいので、そうするには常にイヤホンを指で押さえている必要がある。


というわけでイヤーピースを別のメーカーのものに交換。

コンプライのイヤーピースはゴムではなく発泡性のウレタンのようなもので成形されている。また体温で柔らかくなるらしい。その柔軟性を活かして耳穴にピッタリとフィットさせて装着製や遮音性を向上させる。それによって音質が向上するというのがメーカーの謳い文句。
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コンプライはゴム製のイヤーピースと較べてサイズは2倍くらい大きい。これは装着前に指で押しつぶして小さくしてから耳穴に突っ込み、その後で膨らんでフィットするという仕組みだから。同時にこれでゴム製より耳穴の奥までイヤーピースが届くことにもなる。

それで結果は

   オリジナルが3500円、
   バランスケーブルに換えただけで6500円のイヤホンが
   3万円クラスの音になった!!!

もっとも1万円程度のイヤホンしか使ったことがなく、3万円クラスの音は知らないのだけれど。まあそれくらい満足しているということ。私と同じような不満をイヤホンに持っている人はぜひ試してみるべき。


問題は耐久性。コンプライは粗くて脆そうな素材でもある。ネットでは毎日使って1ヶ月位しかもたなかったという書き込みもある。3つセットで約2000円。だから1つ約670円。本当に1ヶ月でダメになるなら1年で8040円、2年で16,080円、3年で24,120円の交換費用という計算になる。素直にもっと高級なイヤホンを買ったほうが安上がり。ナヤミドコロ。

耐久性については、いずれレポートする予定。

wassho at 22:41|PermalinkComments(0)

2018年08月11日

パイオニア SE-CH5BL その3

バランス接続できるプラグのついたイヤホンがとても少ない話の続きから。

eイヤホンというイヤホン専門店のサイトには約2800本のイヤホンが載っている。そのなかで、私が使っているオンキョーのDP-X1Aに挿せる2.5ミリ4極プラグがついているのは10本くらいだったと思う。しかも39万円とか12万円とかの商品が半分を占める!

イヤホンに凝る人が多くなっているのは事実だが、そんな超高価なイヤホンを買う人は限られている。それでバランス接続するためにどうしているかというと「リケーブル」で対応しているらしい。

リケーブルというのはイヤホンのケーブルを取り替えること。ある程度高級なイヤホンには写真のようにスピーカー部分からケーブルを取り外せるようになってものがある。本来はオリジナルより高級なケーブルに換えて音質向上を図ろうというマニアックな手段のためのもの。それを利用して2.5ミリ4極プラグのついたケーブルと交換するというわけ。なお2.5ミリ4極プラグのついたケーブルはたくさん売られている。
リケーブル


しかしリケーブルできるイヤホンは3〜4万円以上のクラスだし(たぶん)、交換用ケーブルもマニア向けのものだから最低でも1万円はする(10万円以上のケーブルもザラにある!)。つまりこの方法で2.5ミリ4極プラグのイヤホンを手に入れようとすると4〜5万円かかることになる。

はい、イヤホンごときにそんなに払う気はありません(^^ゞ

それで選んだのがパイオニアのSE-CH5BL。当時は6500円くらいだったと思う。これが破格に安いのは、パイオニアがオンキョーのDP-X1Aの姉妹機を売っていて、ある種のオプション的な商品だからだと思う。ちなみにパイオニアのオーディオ・ビジュアル関連商品は2015年からオンキョー&パイオニア株式会社というオンキョーの子会社に吸収されている。

SE-CH5BL


SE-CH5BLのことは、以前にバランス接続ってなんだろうと思った時に調べて知っていた。そして「これは購入対象外」との判断だった。なぜなら見た目もショボイし、なによりこれはSE-CH5Tという3500円くらいのイヤホンのプラグを2.5ミリ4極に交換しただけのものだから。つまりクオリティとしては3500円クラスであり、プラグを換えただけで3000円も値段が高いボッタクリ商品だから。

しかし前々回までに書いたように、壊れたソニーの同クラスのイヤホンに買い換えることができなくなり、あれこれ検討するのも面倒だし、なにより音楽なしで外出する期間が長引くのがイヤだった。それで価格も高くないし、とりあえずツナギのつもりでSE-CH5BLを購入したというのがいきさつ。


音の感想を書いておくと、まず高音はとてもきれいで響きもよく広がりもある。もっとも、これがバランス接続の効果なのか、あるいは単にSE-CH5BLの特徴なのかはわからない。いいところはそれだけで、中音〜低音域は普通。何より全体的にきれいな音はしているが、厚みがないというかリアリティに乏しいというか。うまく表現できないがそんな印象。

結論としてはSE-CH5BLとSE-CH5Tを一緒に買って、1万円ほどの費用でバランス接続とアンバランス接続による音の違いを実験したい人以外にはお勧めしない。6500円(実質的には3500円)のバランス接続より、1万円のアンバランス接続のほうがいい音がするというのが現在の認識。

それで当初はアンバランス接続でいいから別のイヤホンに買い換えようと思っていた。しかし、しばらくしたらSE-CH5BLの音に慣れてしまい、あまり不満に感じなくなってしまった。このあたりがオーディオの奥深いところ(^^ゞ


ところで写真にあるようにSE-CH5BLのケーブルは2本が編まれた形状になっている。使ってみてわかったが、このタイプはあまり絡まない。絡まないのはソニーのセレーションコードだけと思っていたので、これはうれしい誤算。編みケーブルを採用しているイヤホンはそこそこあるから、また次に買う時にはソニー製にこだわる必要が無くなった。


おしまい


2018年10月9日追記
コンプライのイヤーピースに交換して見違える(聞き違える?)ほどいい音になりました。
http://blog.livedoor.jp/wassho/archives/53296729.html


wassho at 16:18|PermalinkComments(0)

2018年08月08日

パイオニア SE-CH5BL その2

前回書いたように「ソニーの」「低音重視型で」「1万円前後のもの」というイヤホン選びの選択基準が崩壊。それで購入したのがパイオニアのSE-CH5BLというイヤホン。

SE-CH5BL


これにしたのはSE-CH5BLがバランス接続のイヤホンだからである。

バランス接続というのは再生機器からイヤホンやヘッドホンへの音楽信号=電流の流し方の方法。反対語はアンバランス接続あるいはシングルエンド接続。世の中のほとんどのイヤホンやヘッドホンはアンバランス接続されている。しかし音質がよくなるということで、ここ数年にバランス接続できる再生機器が増えてきた。


このバランス接続、アンバランス接続は何が違うかをサクッと説明することは難しい。私自身も完全に理解しているわけじゃない。だから以下はかなりアバウトな内容。

イヤホンのケーブルというのは電線。イヤホンの中にある小さなスピーカーにつながっている。そのスピーカーにはプラスとマイナスの極がある。

「アンバランス接続」
    左側のスピーカーの+極へ  音楽信号が流れている
    左側のスピーカーの−極に  音楽信号は流れていない

    右側のスピーカーの+極へ  音楽信号が流れている
    右側のスピーカーの−極に  音楽信号は流れていない

「バランス接続」
    左側のスピーカーの+極へ  音楽信号が流れている
    左側のスピーカーの−極へ  音楽信号が流れている

    右側のスピーカーの+極へ  音楽信号が流れている
    右側のスピーカーの−極へ  音楽信号が流れている

これだけじゃ意味がわからないと思うけれど(^^ゞ なおバランス接続というのはプラスとマイナスの両極に信号が流れていてバランスが取れているというのが由来。

私が使っているオンキョーのDP-X1Aという携帯音楽プレーヤーはバランス接続ができる。劇的に音が変わると期待はしていないが、せっかくその機能があるのだから使ってみたかったというか、使わないのはもったいないと思っていたわけ。


ところで、バランス接続をするにはプレーヤー内部の回路構成が対応していることはもちろんだが、バランス接続用のイヤホンプラグを挿すイヤホンジャックが必要になってくる。

普通のイヤホンつまりアンバランス接続のイヤホンは通称ステレオミニプラグ、正式には3.5ミリ3極プラグというのが使われている。3.5ミリというのは直径で、3極というのは3つの信号経路を持っているという意味。

プラグに2本の線が入っているが、プラグはそこで絶縁されて電気的には3つ=3極に分かれている。先頭が左側のスピーカーの+極、真ん中が右側のスピーカーの+極とつながっている。アンバランス接続の場合、マイナス極は音楽信号に関係ないから、左右共用で根本の部分が受け持っている。
3極


パイオニアのSE-CH5BLについているのは2.5ミリ4極プラグ。バランス接続するには左右で別々にプラスとマイナスが必要だから3カ所で絶縁されて4つに分かれている。ちなみにバランス接続のイヤホンじゃないのに、プラグが4極だったら、おそらくそれはスマホ用のリモコンがついたイヤホン。そのリモコンが1極を使っている。
4極


DP-X1Aには3.5ミリ3極プラグと2.5ミリ4極プラグのためにイヤホンジャックが2つある。
DP-X1A



さて普通のイヤホンつまりアンバランス接続のイヤホンは3.5ミリ3極プラグが標準として確立している。しかし、バランス接続の場合は規格が乱立している。直径も2.5ミリ、3.5ミリ、4.4ミリがあり、またXLRやIRISといったまったく形状の異なるものもある。またバランス接続には4極が必要だが、2極のものを2本使うという方式もある。統一の気配はあるが、今のところ見込はなし。

それよりも問題なのは、バランス接続できる携帯音楽プレーヤーはそこそこあるのに、バランス接続用のプラグがついたイヤホンの品数がとても少ないということ。


ーーー続く

wassho at 20:47|PermalinkComments(0)

2018年08月07日

パイオニア SE-CH5BL

music_earphone_wire

ゴールデンウイークが終わった頃、それまで使っていたソニーのMDR-XB90EXというイヤホンの右側から音が出なくなった。どうやら断線したらしい。今までにも断線は経験している。しかし初めのうちは音が途切れ途切れになっても、ケーブルやプラグなどをシゴくとしばらくは復活するというように、その症状は徐々に進行していた。今回は一発アウトでまったく音が出ない。だから最初はイヤホンではなく、携帯音楽プレーヤーの出力部分が故障したのかと疑ったくらい。

過去のブログを見てみるとMDR-XB90EXを購入したのは2015年の11月30日だから、約2年と5ヶ月の寿命だったことになる Ω\ζ゜)チーン


それで新しいものに買い換えるわけだが、イヤホンに関して私は「ソニーの」「低音重視型で」「1万円前後のもの」という明確な選択基準を持っている。

ソニーのイヤホンを選ぶのは、セレーションコードという表面に縦溝が入った絡みにくいケーブルが使われているから。ソニー製を使ってからケーブルが絡んでイライラすることが、日に数回から年に数回へと激減した。

一般的に低音重視型イヤホンは、ダンスミュージックとか向けに開発されているものだと思う。私が聴くのはほとんどクラシック。しかしクラシックほど低音のよくでるイヤホンを使うべきだと思っている。クラシックには高音域寄りの曲が多いので、音質バランスを多少崩してでも低音を強調したほうが、安定感があって聴き疲れしないからというのがその理由。

1万円前後というのは、私の耳にはそれくらいで充分でしょうということで(^^ゞ



というわけで店まで行って試聴する気もなく、通販でチャッチャと買うつもりだった。ところが「ソニーの」「低音重視型で」「1万円前後のもの」という条件に当てはまる商品がなかったのである(/o\)


どうやらソニーは現在、ワイヤレスやノイズキャンセリング・タイプのイヤホンに注力しているらしい。前回に購入した約2年半前にたくさんラインナップがあった有線の低音重視型イヤホンは、数も少なく3万円以上のものだけになっていた。

もっともワイヤレスやノイズキャンセリングにも興味はある。しかし今回は手を出さないことにした。

携帯音楽プレーヤーにはCDと同じくデジタル化された音楽が入っている。それをDAC(ダック=デジタル・アナログ・コンバーター)という回路でアナログの音楽信号に復元してイヤホンに流すわけである。つまりDACは増幅回路であるアンプと共に携帯音楽プレーヤーの心臓部分。

ワイヤレスのイヤホンは携帯音楽プレーヤーからBluetoothなどの電波を介してデジタルで音楽を受信し、DACとアンプはイヤホン側に組み込まれている。逆にいうと携帯音楽プレーヤーは音楽ファイルの読み出しをするだけで音質には関わらない。今使っているオンキョーのDP-X1Aという携帯音楽プレーヤーの音質はそこそこ満足している。それはDP-X1AのDACとアンプに満足しているということなので、もしワイヤレスのイヤホンを購入するなら、試聴してどんな音なのかを確かめたかった。

そしてその時はそんな暇がなかったというのが手を出さなかった理由。なおノイズキャンセリング機能(周囲の騒音とは逆位相の音を出して、騒音を聞こえなくする)はワイヤレスのイヤホンには、大抵組み込まれているみたい。ノイズキャンセリングは以前にBOSEのものを試したことがある。周りの音が魔法のように消えて、屋外で音楽を聴くには最高の環境を提供してくれる。でも飛行機や新幹線ならいいけれど、街中や地下鉄ではちょっとアブナイかもという気もしている。もちろんノイズキャンセリングの効き目は調節できるが。


そんなわけで「ソニーの」「低音重視型で」「1万円前後のもの」という明確な選択基準は脆くも崩壊してしまい、新しいイヤホン探しをすることになったのである。


ーーー続く

wassho at 23:22|PermalinkComments(0)

2017年06月28日

オンキョー DP-X1A その4

音質は最高、操作性は最悪に続くパート3はデザインは凶悪というお話。


DP-X1Aは大きくて重たいから持ち運びに不便。またこのサイズでは片手で操作するのは不可能。不満には思っているが、それらは承知した上での購入だから仕方がない。でも使ってみてわかったのは、DP-X1Aのボディのエッジがやたらシャープだということ。

  ★ボディは直方体。つまり6つの面で構成されている。
  ★その面と面が接しているところがエッジ。


エッジ=面と面が作る角度は直角。工業製品で手で扱うものは面取りといって、エッジを少し丸めるか斜めに削ぎ落とすもの。でもDP-X1Aは面取りせずにキリッと直角のまま。実際にそんなことはないが、エッジで指を素早く滑らせれば切れそうな気がしてしまう。

実はエッジのシャープさは店頭で手に取った時に気がついていた。でも使っているうちに慣れるだろうと考えていたのである。しかし半年経った現在もまったく慣れない。前回のエントリーで「DP-X1Aは押しにくい電源ボタンを押し、見つけにくいアルバムリストを探す」のが毎日のストレスと書いたが、その前にDP-X1Aを触る度に指先に伝わる不快感がある。


使ってみて初めてわかったのは2面でできるエッジがシャープなら、3面が集まる「角」も尖っているかのようにシャープだということ。DP-X1Aを持った時にボディのその角が、手のひらの親指の付け根あたりに食い込むから痛い。まあそんなに長く持ち続けるものではないから実用上の支障はない。でも1日に何度もの不快感が、音質は気に入っているのに、どこかこの製品を好きになれない原因だと思う。


おそらくボディをシャープに見せるために面取りをしなかったんだろう。その成果は現れていてDP-X1Aの見栄えはなかなかいい。しかし面取りせずにシャープな印象を与えるなんて猿でもできるやり方。使い心地や人間の心理までをくみ取ってこそデザインである。操作画面の最悪さも「使う人の気持ちや行動」まで考えが及んでいないから。オンキョーにはそういった分野での成長を期待したい。


ところでアルミの削りだしで造られているDP-X1Aのボディは極めて堅牢。つまりメチャ固い。そして角は先ほど書いた通り。ここで力を込めて人の頭を殴ったら致命傷を与えられるに違いない(^^ゞ それがデザインは凶悪というオチm(_ _)m

エッジ



いったん、おしまい

wassho at 08:18|PermalinkComments(0)

2017年06月27日

オンキョー DP-X1A その3

前回に書いたように、
オンキョーDP-X1Aに対する私の評価をまとめると次の3つである。

    音質は最高  \(^o^)/
    操作性は最悪  (/o\)
    デザインは凶悪 (>_<)

今回は操作性が最悪な話。
いつもと違ってこのテーマに関して専門用語の解説はしないが、加えて今回は目の前で操作して見せないでわかりやすく書くことは難しい。だからそれは諦めた(^^ゞ

   とにかく使いにくい(怒)
   もう買ってから半年経つが毎日イラつく。


iPhoneで音楽を聴いていた時は説明書など読まなくても(説明書ってあったっけ?)最初から迷うことなど何もなかった。アルバムのボタンをタップして、そこにリストアップされたものから選ぶだけ。

ところがDP-X1Aはアルバムを選ぶ画面までたどり着くのに何度もスワイプする必要がある。さらに再生画面からアルバムリストに戻るにも(あるいはその逆も)何通りかの方法があって、また戻り方も微妙に違うのでなかなか思ったように戻れない。たまに一発で希望の画面がでてきたら、今日は縁起がいいゼと感じるくらいである。また戻る印のボタンは「現在どの画面にいる、またはどんな動作をしているか」によって機能が変わるようで、とにかく思ったように操作できなくてイライラする。

まあ文章を読んでもナンノコッチャ意味がわからないと思うので、毎日が平和すぎてたまにはイライラしたい人はDP-X1Aを買ってみてください(^^ゞ



またアルバムアーティストに対応していないのも信じがたい。
CDからリッピングする時はどこかのデータベースにアクセスして

    アルバムのタイトル
    曲名
    その曲を演奏しているアーティスト

などの情報が音楽ファイルに書き込まれる。例えば交響曲とピアノ協奏曲の2つが収められたアルバムがあるとする。指揮者とオーケストラは2曲とも共通であるが、ピアノ協奏曲にはピアニストが加わる。つまり

   交響曲のアーティスト:   指揮者&オーケストラ
   ピアノ協奏曲のアーティスト:指揮者&オーケストラ&ピアニスト

となる。この場合iTunesなどの音楽管理ソフトは、交響曲とピアノ協奏曲を別のアーティスト(群)の演奏と見なし、アルバムのタイトルが同じでも、それらを別のアルバムと認識する。つまりアルバムのリストには、それぞれの曲別に同じタイトルのものが2つ並ぶのである。

別々のアルバムと認識されない方法のひとつがアルバムアーティストの設定。それを指揮者のアルバムとしたければ指揮者を、オーケストラでならオーケストラをアルバムアーティストに指定する。つまりアルバムの代表アーティストを決める機能。誰にするか特に決まりはないので自分で決めることになる。

iPhone(にインストールされているミュージックというアプリ)では、アーティストの画面でアルバムアーティストのリストが表示される。しかしDP-X1Aは【指揮者&オーケストラ&ピアニスト】といった個別のアーティスト群なのである。そのリストが役に立つ人もいるかもしれないが、アルバムアーティストのリストからアルバムを選べないのは不便きわまりない。なぜアーティストとアルバムアーティストの二本立てにしなかったのか理解に苦しむ。


話はそれるがCDからリッピングする時には作曲者の情報も書き込める。それを利用して作曲者リストからアルバムを選ぶ仕組みが是非欲しいと前から願っている。これはiPhone、DP-X1A共に対応していない。

私が聴くのはクラシックが多い。例えば「今日はモーツァルトのアルバムから選びたい」と思ったとする。クラシックのアルバムのタイトルは「モーツアルト交響曲〇〇番」など最初に作曲家の名前を記したものが多いから、アルバムリストでだいたいは選べる。しかし中にはまったくオリジナルのタイトルが付いている場合ある。また「ベートーベン弦楽4重奏〇〇番、モーツアルト弦楽4重奏〇〇番」というカップリングでのタイトルもあって、これだと語順に並べたアルバムタイトルのリストから見つけるのは難しいのである。



話は戻ってDP-X1A。とにかく操作性は最悪である。他にも再生に関する設定が音楽ソフトとOSに分かれてそれぞれあるのも煩わしい。またロックレンジアジャストという設定があって、これはワイド→ノーマル→ナローと狭くするほど音質がよくなるというシロモノなのだが「狭くすると音切れが発生する場合があります」という注意書きがある。そんな未完成なものを搭載するな!といいたい。実際ナローに設定するとブチブチと音が飛んで使い物にならない。


ところでDP-X1AはAndroidのOSで動いている。ということは別の音楽アプリをインストールすれば操作性に関してはカバーできるのかもしれない。今のところそれが可能なのか、どんな音楽アプリがあるのかなどは調べていない。そんな面倒なことをするために買った訳じゃないから、オンキョーには一刻も早い内蔵ソフトの改良を求めたい。


そしてアプリでは解決しないこともある。

スリープから復帰させる時はボディ側面の電源ボタンを押す。これが小さくて爪の先でしか押せないサイズ。実に使いにくい。仮にもう少し大きかったとしても、あんな場所じゃ同じだろう。iPhoneなら画面下にわかりやすく押しやすいボタンがあるのに。

操作性ではないがバッテリーの減りも早い。アルバム1枚でバッテリー表示は7〜8%減少する。ということは約10数枚分のCDを聴けるわけだから携帯音楽プレーヤーとしては充分ともいえるが、しかしiPhoneなら1〜2%程度である。

ムカツクのは音楽を再生していないスリープの状態でも、どんどんバッテリーが減ること。一晩で20%近く減る。もちろんWi-FiやBluetoothは切ってあるし、バックグランドで何も走らせていない。こいつは一体何に電力を消費しているのだ。そんなわけで電源もこまめに切るので、先ほど書いた電源ボタンの押しにくさに毎回毎回イラッとするのである。

ひょっとしたらと思い、デフォルトでインストールされていたアプリから、携帯音楽プレーヤーとして必要のないものをすべて無効にもしてみた。わずかに改善された程度で効果なし。ますます何に電力を消費しているのかナゾ。



まだ他にも不満があったかもしれないがこのくらいで。

iPhoneの時は部屋の明かりをつけたり水道の蛇口をひねるのと同じで「操作している」という感覚はなかった。このDP-X1Aは押しにくい電源ボタンを押し、見つけにくいアルバムリストを探すなどと何かと機械に意識を向けざるを得ない。些細なこととはいえ、それはチリも積もれば山となるストレスなのである。


すっかり忘れていたが、昔オンキョーのCDプレーヤーを2台続けて買って、2台とも同じところが壊れたことがあった。この会社とは相性悪いのかも(^^ゞ


ーーー続く




2017年07月19日 追記

DP-X1Aには作曲者リストの画面があって、そこからアルバムを選ぶことができることを発見。何度もスワイプしないとその画面にたどり着かないので見落としていた。

またDP-X1Aの最初の画面は「フォルダ」という名前がつけられたパソコンでいえば第1階層の表示。携帯音楽プレーヤーの最初の画面にこんなものを持ってくるのが、これを設計したエンジニアがインターフェイスのイロハをわかっていない証拠。

ただし音楽ファイルをアルバムアーティスト毎のフォルダに分けてDP-X1Aに格納してあれば、例えば「フォルダ」画面でSDカードを選んで開けば、アルバムアーティストのフォルダのリストが表示される。つまりアルバムアーティストから選ぶことも一応できる。ただしアルバムのジャケット画像が表示されないので、私のようにアルバムはタイトルではなくジャケットでしか内容を覚えていない人間には実用性は低い。

wassho at 06:42|PermalinkComments(0)

2017年06月09日

オンキョー DP-X1A その2

onpu325

前回エントリーで専門用語の解説は割愛すると書いた。でも読み返してみるとたいした専門用語は使っていなかった(^^ゞ 今回は聞き慣れない言葉が多いかもしれないがご容赦を。


さてオンキョーDP-X1Aに対する私の評価をまとめると次の3つである。

    音質は最高  \(^o^)/
    操作性は最悪  (/o\)
    デザインは凶悪 (>_<)


音質にはとても満足している。そりゃiPhone、つまりは携帯電話のオマケ機能で聴いていた音と較べてよくなっていて当然だけれど。5万1000円で買ったとはいえ、発売当初は9万円ほどした機種なんだから。

音のよさを説明することは難しい。説明ができたとしても、そもそもが感覚の話だから内容が伝わるかどうかは別問題。それを承知で書けばーーー


端的に言えば音がクリアになった。それによって従来より音楽が活き々と聞こえるし、サウンドステージも広がったように感じる。おそらくiPhoneでは埋もれていた音が聞こえているからだろう。誤解のないように書いておくと「今までこんな音はこの曲には入っていなかった」とそこまで違うわけじゃない。埋もれていたのは微妙な音の輪郭。例えれば窓ガラス越しに見る風景と窓を開けて見る風景の違い。同じ風景を見ていてもやはりどこか違う。

クリアに聞こえるのはスマホという汎用機器と、音楽再生用に設計された機器が発生するノイズ量の差だろうと考えている。音にノイズが乗れば歪んで聞こえる。オーディオというのはノイズと歪みとの戦いの歴史でもある。また聞こえる音がクリアなだけじゃなくて、マニアがいう「音楽の背景が静か」と感じられるのもノイズが低いからだと思われる。

実はクリアな音だというのは携帯音楽プレーヤーとしてよりも、自宅でパソコンに換えてDP-X1AをDAC経由でオーディオに接続した時に顕著に感じる。CDだと探すのが面倒で聴きたい曲がすぐに聴けないからと始めたPCオーディオであるが、どこか微妙にしっくりこないところがあった。それが何なのか自分でもよくわかっていなかったが、DP-X1Aを接続してクリアさの問題だったと確認できたしだい。オーディオ的見地からパソコンはノイズのかたまり。その対策はいろいろあるがマニアックで面倒なもの。DP-X1Aであっさり解決してよかった。



ここまで音がよくなったことをノイズと関連づけて書いてきた。しかし、ひょっとしたらまったくの見当違いかもしれない。なぜなら機器によって使っている音楽ファイルのフォーマットがすべて違うから。

音源はすべてCDからのリッピング(パソコンに取り込む、コピーすること)である。ハイレゾは今のところ手を出していない。

MacにはiTunesではなくXLDという専門ソフトを使って取り込んでいる。より正確にリッピングできるらしいが、やたら時間が掛かるのが難点。何年か前に持っているCDほぼすべてをXLDでリッピングし直したのだが、暇を見つけながらの作業なので半年以上掛かった。

リッピングするフォーマットは無圧縮のAIFF。iPhone用にはそれをAACの256kbpsにコンバートしていた。それに対しDP-X1AではロスレスのALACへのコンバートである。なおかつイヤホンで聴く時は192kHzへのアップサンプリング、DAC経由でオーディオに接続する場合はDSD5.6MHzへ変換している。

少しだけ音楽ファイルのフォーマットについて解説すると

  AIFF:CDに入っているフォーマットと同じ。

  AAC:音楽データの聴覚的に不必要な部分を間引いて圧縮するフォーマット。
      聴き分けられるかどうかは別として原理的に音質はオリジナルより低下する。

  ALAC:間引かずに圧縮するフォーマット。
      原理的に再生時の音質はオリジナルのAIFFと同じ。

音質はAIFF>ALAC>AACとなる。圧縮というのはファイルサイズを小さくするための手段で、同じデータのサイズもAIFF>ALAC>AACとなる。


つまりiPhoneはAAC、DP-X1AはALACとフォーマットレベルで音質が違うのだから差が付いて当然ということ。PCオーディオでのMacとDP-X1Aは、フォーマットレベルでほぼ同等でもサンプリングレートが異なっている。音質の違いがフォーマットやサンプリングレートによるものかどうかはiPhone、DP-X1A、Macで「ALACを使いアップサンプリングしない」という共通条件で聴き較べればわかる。でもそんなことはしていない。そこまでマニアじゃないし、結果オーライでいい音だったら、あるいはいい音と思えればそれで満足(^^ゞ


ところでアップサンプリング。生の音を録音する時に、よりハイレートでサンプリングするほどアナログの波形に近づいて音質が向上することはわかる。しかしいったんデジタルにしたものをアップサンプリングで再分割して何か意味があるのかと懐疑的だった。でも百聞は一見にしかず。確かに音はよくなる。一枚ベールを剥いだようにクリアだし響きもいい。少し音楽がきつく感じられなくもないが、アップサンプリングからオリジナル・サンプリングに戻すと物足りなくなってしまう。音声信号的に何が変化するのかは不明だが、これも結果オーライでよしとしている。

ちなみにオーディオに接続する時にDSD変換しているのは、なぜかDP-X1Aは192kHzではなく176.4kHzでしかアップサンプリングしないから。USB接続の場合に限り384kHzという設定もあるが、そのレートには自宅のDACが対応していない。それでDSD変換を試してみたら、音の押し出しがよくなったように感じられるのが気に入って使っている。もっともPCM176.4kHzとDSD5.6MHzの違いは極めて微妙で目隠しテストなら当てる自信はない。でも普段は目隠して音楽を聴くわけじゃないからこれでいいのだ。


やっぱり説明はできても話は伝わってないかな(^^ゞ



もうひとつだけわかりやすい音の違いを。iPhoneと較べてDP-X1Aでは低音がよく出るようになった。全体が高音域に偏っているクラシックこそ低音が重要というのが私の持論。iPhoneでイヤホンから聞こえる低音には物足りなさを感じていて、それはイヤホンという超小型スピーカーの限界だと思っていた。しかし同じイヤホンなのにDP-X1Aだと、かなりしっかり低音が聞こえる。つまりイヤホンを駆動するアンプの力量(音量じゃない)にiPhoneとは大きな差があるということ。それでもスピーカーで鳴る音と較べれば違いはある。しかし携帯している時はそんなに真剣に音楽を聴くわけじゃないから、DP-X1Aのイヤホンから出る低音にはとりあえず満足している。また現在のイヤホンは1万円クラスの製品だが、DP-X1Aならもうワンランク上のものを買ってもいいかなとも思っている。



そんなこんなでDP-X1Aの音質には満足している。何が音質に貢献しているのか正確なところはわかっていないが、エンジニアじゃないんだからそれは問題ではない。確かなのは5万円の投資に充分な見返りがあったこと。30万円のウオークマン、50万円のAstell&Kern(アステル&ケルン)ならどんな音なのだろうと興味はあっても、私にはDP-X1Aで必要充分。それにいい音で音楽を聴くのは気持ちがいいけれど、音の善し悪しで音楽から得られるものに差があるわけじゃない。訳もわからず一番音楽に感動できたのは、小学生の頃に親に隠れて小さなトランジスタラジオから片耳イヤホンで聴いていた深夜放送のポップスやロックだったりするんだから。


さて音質については褒めちぎったDP-X1A。しかしそれ以外はほとんど気に入っていない。


ーーー続く

wassho at 21:48|PermalinkComments(0)

2017年06月07日

オンキョー DP-X1A

昨年末にiPhoneを買い換えた時に事務手続きがスムーズに進まなかった。それがきっかけで自分に必要なスマホやモバイル機器は何かを考え、iPhone7ではなくiPhoneSEにして、その差額で携帯音楽プレーヤー買うのがいいという結論になったことは以前にも書いた。


購入したのはオンキョーのDP-X1Aという機種。
DP



ここ最近はずっとiPhoneで音楽を聴いていて携帯音楽プレーヤーを使うという発想はなかったので、このジャンルにそれほど詳しいわけではない。昔からあるウォークマンを別とすれば、Astell&Kern(アステル&ケルン)という50万円ほどする韓国製のプレーヤーの人気が高いこと、数年前にオンキョーがパイオニアのオーディオ・ビジュアル部門を吸収して、オンキョーとパイオニアのダブルブランドで製品を出していることくらいが予備知識。携帯音楽プレーヤーはハイレゾブームに乗って、いろんな製品があることは知っていたが、具体的な機種までのイメージは持っていなかった。

(なお今回は専門用語の解説をすると長くなりすぎるので、
 興味がある人は自分で調べて欲しい)


最初に馴染みのあるソニーのウォークマンを調べた。A30という機種が普及価格帯。それでもiPhoneより音質はいいだろうから充分と思ったが、メモリー容量が64ギガまでと少ないので候補から外れる。
A30



その上位機種がNW-WM1A。
WM1A

A30は4タイプあって2万円から4万円だったが、こちらはいきなりの10万円越え。当時は11万円ちょっとだったと思う。今までiPhoneで不満もなかった機能に10万円以上払うのもなんだかなあと保留。メモリー容量が128ギガというのも微妙に少ないと思えた。これの上位機種なら256ギガだが価格は30万円なので対象外。なお1世代前のNW-ZX100という機種も売られていてメモリーは128ギガで価格は6万円ほどだったので候補リストに入れる。


50万円のものを買う気はなかったがAstell&Kernのホームページも覗く。するとAK70という手ごろな価格の製品を見つけた。昨年末で6万円強。本体のメモリーは64ギガだがマイクロSDカードを挿せばプラス256ギガまで拡張できるのも高評価。デスクリサーチの段階で第1候補となる。
A70



iPhoneSEに機種変更した後、同じビックカメラの携帯音楽プレーヤー売り場で実物を見較べ。結果的にオンキョーのDP-X1Aにした理由は3つ。

1)安かった(^^ゞ

当時、価格COMでの最安値は5万3000円ほど。ビックカメラはもう少し高かったが、1週間ほどの期間限定の年末特別価格で5万1000円で販売されていた。アステル&ケルンのA70との差額は約1万円。飲みに行けばすぐに消えてしまう金額ではあるが、買う時は細かな数字に引っかかるもの。

ところで不思議なことに6ヶ月経った現在、DP-X1Aの価格COM最安値は5万8000円と値上がりしている。


2)
A70は見た目の質感が少し低く感じられた。それはミントグリーンの色合いのせいもあるし、また展示品が多くの人に触られたもので少しヤレた感じになっていたこともある。上に書いたようにDP-X1Aより価格が高いものが安っぽく見えるのは、かなりのマイナス印象だった。ブランド的にアステル&ケルンに興味は持っていたのだが。

3)
DP-X1Aは本体メモリーは64ギガ。200ギガのマイクロSDカードを2枚挿すことができて合計464ギガ。その時点で私がどれだけの容量を必要としているのか把握していなかったとはいえ、まあ大は小を兼ねるかと。

なお最近、DP-X1Aのソフトがファームアップされて256ギガのカードまで使えるようになった。



以上がDP-X1Aの選定理由。ちなみに試聴して音質を確かめるなんてことはしていない。するつもりもなかったけれど、だいたいビッグカメラの展示品には音楽のファイルが入っていなかった(/o\)

ついでにいうとビックカメラでは盗難防止のいかつい器具がプレーヤーにドッキングされている。それが重くてプレーヤー自体の重量がまったく感知できない。モバイル機器の重さは重要なので改善を求めたい。特にDP-X1Aは重そうだったので毎日持ち歩くのに苦にならないか心配だった。そこで近くのeイヤホン渋谷店まで出向く。eイヤホンでは展示品に何もついておらず、DP-X1Aが許容範囲内の重さであることを確認できた。ただし販売価格が高かったのでビックカメラに引き返す。



ちなみにオンキョーのDP-X1Aの姉妹商品としてパイオニアのXDP-300Rという製品がある。基本的に同じ設計なのだが、差別化のために一部のパーツがスペックダウンされていて1万円ほど安い。
XDP

私がメインで聴くクラシックには、オンキョーのほうが向いているというのがネットでの口コミ評価。しかし両者を聴き較べれば微妙な違いがわかるかもしれないが、毎日それだけを使っている分には気にならないだろうし満足度も変わらないと思う。それでもオンキョーにしたのはパイオニアに年末特別価格がなく、その差が5000円ほどしかなかったから。そして5000円の違いで後になって「やっぱりオンキョーにしておけば」と思うのを避けたかったから。でも商品の細かな違いなんて買う時は気になっても、買った後はすっかり忘れているもの。やっぱりパイオニアにしておけばよかったとも思っている。


さてDP-X1Aの評価は満足半分で不満半分といったところである。


ーーー続く

wassho at 22:38|PermalinkComments(0)